2017年6月25日日曜日

アニメ化して欲しい音楽小説【ジュンのための6つの小曲】<感想>

古谷田奈月さんの「星の民のクリスマス」に続く二作目です。
今回は、素晴らしい歌の才能を持ちながらも発達障害(※作中で明言されてあるわけではありません。)の少年ジュンの物語です。
 
彼の見る世界は、色鮮やかで、生き生きしています。周囲から蔑まれながらも、自転車や楽器と友だちで、言語の持つ意味に違和感を感じながらも、音に色を感じる...という、現代社会では生きづらいながらも、美しく尊い世界を持っています。
 
ちょっとした偶然から、彼と交流を持つことになったトクの一家との関係も、とても魅力的です。冷たいよう優しく思慮深いトク、トクに疎まれるほど明るい父親カン、優しく温かい母親エリ...。カンの明るさに笑いが漏れ、エリの温かさに涙させられる場面は幾度もありました。
ジュン自身の家族よりも、彼らとの関係の方が多く描かれることで、家族に対する視点を広くしているように感じます。
 
他に、中学生の彼ら学生生活なども、面白かったのですが、この作品の一番の魅力は、冒頭にも書いたジュンの見る色鮮やかな世界です。
音が色を持ち、色が音を持ち、楽器や道具の気持ちを感じる彼の世界を映像作品にすれば、どうなるのかとワクワクします。昨今、音楽をテーマにしたアニメ化作品が増えているので、この作品もアニメ化したら、嬉しいと思います。

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