2017年6月11日日曜日

書くのが好きな子に読んで欲しい作品 【星の民のクリスマス】<感想>

第30回三島由紀夫賞の候補に上がっていた「リリース」の作者、古谷田奈月さんのデビュー作です。
第25回日本ファンタジーノベル大賞の受賞作でもあり、元は「今年の贈り物」というタイトルだったようです。個人的には元のタイトルも優しい感じがして好きです。
 
クリスマスに歴史小説家のお父さんからお話をもらった女の子の話です。
自身も書き物が好きな彼女が周囲の人々との関わりで変化していく様子が描かれていて、
是非、書き物が好きな人に読んで欲しいと思う作品でした。
 
全体的には、優しい世界ではあるのですが、戦争や政治といった大人の汚さや、子ども同士故の意見の仲違いなども描かれています。
子ども同士のちょっとした意見のぶつかりでお互いに酷く傷つきあってしまうというのは、私も心当たりがあって、懐かしく感じました。
また、「子どもに出来なくて、大人に出来ないのは教えることぐらいだ」というような台詞があるのですが、
この子どもを軽んじない考え方が特に好きです。
実際、大人に出来ることなら、子どもにも出来ることは多いです。また、子どもを尊重することは、子どもの実力を引き出すと思います。
 
夢を膨らまし、社会の汚さを感じ、子どもを尊重する作品で、是非子どもに読んで欲しい作品ですが、クリスマスがテーマにもなっているので、お子さんに薦める際には、一読することをお勧めします。

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