2017年6月25日日曜日

移民への考え方が広がる作品【カブールの園】<感想>

第30回三島由紀夫賞受賞作品。
日系2世のアメリカ人女性の話です。
作者の宮内悠介さん自身が少年期をニューヨークで過ごされていたからか、文章が外国的で、情景も生々しかったです。
 
有色人種としての差別は、想像していたけれど、親との考え方の違いによる衝突も移民の方が大きくなるという点には、考えが及びませんでした...。
グローバル化が進んで、世界中で移民問題も顕著な今、いろいろと不満がぶつかり合うけれど、どのようにしていくべきなのか。いろんな立場のいろんな意見がある中で自分たちが守るべきものが、作中の「最良の精神」なのではないかと思います。
 
同時収録の「半地下」は、父親に付いて渡米した姉弟が、父親が失踪した後、生き抜いていく話で、「カブールの園」とは少し雰囲気がアングラ寄りです。
また、移民の言語に関する話で、ずっと日本で日本語で暮らしてきた私は想像も出来なかった話でした。
なので、感想がうまく言葉に出来ない...。ただ、読み終わると、納得のため息が出ました...。
 
どちらも、移民への視点が増える作品だと思うので、移民問題に興味のある人、移民に嫌悪感のある人にオススメしたいです。

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