2017年8月27日日曜日

虚しくて、切なくて、凄まじい【少女地獄】(感想(ネタバレ控えめ))

夢野久作の短編小説集です。
著作権フリーの作品なので、無料で青空文庫で読めます。
やや文語ではありますが、意外と読みやすいので、気になる方は是非!
→少女地獄|青空文庫
 
私も以前から、何となく気になりつつも、「少女たちが可哀想な目に遭う話」だと聞いて、怖くて読むのを避けていました。でも、先日「ドグラ・マグラ」という変わったタイトルの長編作品も書かれた作家さんだと知って、「ドグラ・マグラ」を読む前に試しに読んでみることにしました。

実際、噂ほどに後味の悪いものではなかったです。たしかに、少女たちは不幸な出来事に見舞われます。ですが、それに対する彼女たちの行動は、逞しくて、恐ろしくて、切なくて、感嘆します。可哀想な話ではなかったと思います。
特に、3番目の「火星の女」での少女たちの結末は、悲しくて凄まじいです。でも、この結末を彼女たちを選んだ強さに、読後、ため息が出ました。
一方、2番目の「殺人リレー」の結末は切ないです。私は彼女の選択は間違いだったように思えてなりません。彼女が思い違いをしているように思います。ただ、2番目は全て手紙形式なので、真相はわかりません。ただこれも彼女が自身で選んだ結末であり、可哀想というより、切ないです。
1番目の短編「何でも無い」は、他の2つより少し優しい結末です。しかし、この少女の選択には、切なさより、虚しさを感じます。彼女は優秀だけど、強くはなかったのかもしれません。それが虚しさを感じさせるのかもしれません。

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