2017年11月15日水曜日

享楽的な一家の「明るい小説」【ボージャングルを待ちながら】<感想(ネタバレ控えめ)>

陽気で享楽的な毎日を送るある家族の話です。日本人の感覚では信じられないような常識離れした楽しげな日常が、一家の一人息子と父親視点から描かれています。
あとがきにて訳者の金子ゆき子さんも書かれていますが、この二人の視点の微妙な「ずれ」が、この作品の魅力です。この「ずれ」の部分はフランスの言葉の独特の言い回しを知れる部分でもあるので、そういう意味でも面白かったです。
主人公の男の子はとても優しくて、賢い子なんですが、ユーモアまみれの父親の言葉をそのまま受けとるような素直さもあり、とても可愛らしく感じます。そして、この子どもらしさが彼の優しさと賢さを引き立て、物語をより切なく、より美しています。
フランス本国では、数多の賞をとり、今年の7月には舞台化され、映画や漫画化も企画されている作品です。邦訳本は今年の9月に刊行されたばかりで、まだ日本ではあまり知られていないようです...。次回作は、今回とは違い、「ごつごつした」話で、二人の男性が主役の塩田を舞台とした作品だそうです。BがLな話もあるんだろうか...。凄く楽しみです!!!

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