2018年6月12日火曜日

伏線張り巡らされたリレーのような物語【物語のおわり】<感想>

ある「物語」をめぐる物語です。
「物語」がリレーのバトンのように登場人物の間を渡って行くのですが、この「物語」の「おわり」について、登場人物たちが様々な想像をめぐらせます。
登場人物の中では、綾子が好きです。
不器用ながらも、素直で、真っ直ぐで...。
だからこそ、あんな彼氏と付き合うことになったのでしょうけど、こういった物語で成長するタイプです。
彼女までと、その後からで少し物語への視点が変わります。
環境が異なる彼らは、「物語」に対しての感じ方、注目する視点が異なるのは当然かもしれませんが、ここでの変化は世代の変化でもあるのかなと思います。
このひとつの物事に対するいろんな意見というのが、湊かなえ作品らしくて、好きだなぁと思いました。
 
そして、そんな考え方の異なる彼らを繋いだのは、北海道です。
北海道へ旅行に来たという共通点が彼らを引き合わせて、「物語」のリレーに参加させたのです。
そう思うと、旅行という非日常と北海道の魅力を神秘的にも感じます。
先日北海道が舞台の作品「クレオパトラの夢」を読んだとこだったので、北海道という舞台に運命的なものも感じました(笑)
「クレオパトラの夢」の感想→

また、あちこちに伏線が張り巡らされていて、読後も読み返したくなる作品です。

いくつも繋がる部分を見つけられると、ニンマリさせられると同時に、凄く計算しつくされた作品であることを実感、湊かなえさんの実力を思い知ります。

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