2018年6月22日金曜日

「家」をなくした少女達の虚しく醜く切ない話【路上のX】

ネグレクト、性的虐待、家出少女、DV、デートDV、売春、JKビジネス...。
そういった思春期の女の子たちをテーマにした話です。
男性に読んで欲しい作品です。
読んだところで、彼女たちの想いは言葉の上でしか分からないとしても、こういう想いがあることを知っておくべきだと思います。
彼女たちの生きざまは、切なくて虚しくて浅ましくて醜い。
罵っているような言葉ですが、そういう言葉でないと、彼女たちの強さと美しさを表現出来ない気がするのです。
大人と子どもの時期だからこその、社会への意識、社会からの扱い、そして成長途中故の未熟さ。
これらが凄く丁寧に描かれています。
彼女たちの未熟さと、社会で生き抜こうとする逞しさの混じりあったり、ぶつかったりする様が、この作品の見所だと思います。
私は主人公の真由よりもリオナやミトの方が好きです。
真由はまだ少し幼いというか、自分の正しさを信じすぎている義直さが目につく場面が多いです。
ただ彼女に比べて、他の二人が大人びているというのとは、少し違います。
二人は大人に対して諦めてしまっているのです。
辛い経験をした人は強いと言われるけれど、実際は強くならざるを得なかったんだと思います。
そして、その強さも、辛抱強さや鈍さだったりして、何かの拍子に壊れてしまうような、虚勢にも近いものなのかもしれません。
彼女たちの強さは、どこか綻びがあるからこそ、助け合おうとするし、衝突もするのでしょう。
それが、切なくて、虚しい。
ただそのどうしようもなさがとても魅力的です。
ラストのリオナの選択も切なさとどうしようもなさを感じますが、それがまた良かったです。
割りと長い作品ではありますが、少女達視点なので、読みやすいと思います。

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