2019年6月6日木曜日

ファンタジー好きに薦めたいSF成長譚【奪命者】《感想》

技術の発達で人類が「死」を克服した社会を描いた近未来SF小説です。

この作者の前作が面白かったので、手に取ってみたものの、本の帯のキャッチコピーの死神的な要素の強さに、少し軽率さを感じたました...。
それでも、読んでみるとなかなかに深い内容で、予想を裏切る期待通りの面白さでした!
シリーズ作品で、今年アメリカで最新3作目が出るそうです。

第1作めにあたる今作は、作中で唯一「死」を与える資格を持った職業「サイズ」と、その弟子として選ばれた少年少女の話になっています。
「死」が無くなっただけでなく、科学技術も天井に達したという、あまり見ない世界。
その斬新な世界観にドキドキさせられ、理解し始めたところで、主役の少年少女の成長譚が始まります。
序盤で近未来SF要素がやや強いのに対し、中盤は王道ファンタジー成長譚のような雰囲気になります。
魔法要素などはないので、スポ根の方が近いかとも、考えたのですが、やっぱりファンタジー成長譚っぽいと思います。
日常から離れ、今までとは異なる世界へ飛び込んだ彼らが、その非日常を知り学ぶ様子が、王道ファンタジーを連想させるのです。

また、その成長によって、身につけた「力」を得た人たちのいろんな在り方や考え方が、いろいろと描かれているのも面白いです。
いろんな人がいるからこそ、ぶつかったり、吸収したり、影響しあうんですが、まさに思惑が入り交じるので、後半の展開も凄くドキドキします。

第二作目は、科学技術の部分に焦点を当てた話だそうなので、現在まだ翻訳されてないようなのですが、先に原作を買ってしまおうか迷うくらいに楽しみです!
英語得意なわけではないし、訳者の池田真紀子さんの訳も面白くて、読みやすかったので、どうするかはちょっと迷い中です...。
英語もっとちゃんと勉強しとけば、良かったなぁ…。

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