2018年5月30日水曜日

穏やかな不安に包まれる北国ミステリ【クレオパトラの夢】<感想(ややネタバレ注意)>

恩田陸作品ならではの静かな不安の漂うミステリ作品です。
不倫相手を追い、北海道へ渡った妹を連れ戻す話です。
が、彼がすでに死んでしまっていたり、主人公にも別の目的があったり、と何やら不穏な雰囲気で話が進んでいきます。
キーマンとなる不倫相手の痕跡を辿る中で、真相に辿り着くまでに二転三転していく展開には、見事に振り回されました。
全く予想出来ない結末でした...。
ただ、細菌部隊の本を以前に読んだことを思い出していたので、個人的には凄くタイムリーでした。
また、「MAZE」という作品の第二作目にあたるシリーズ作品です。
全く気づかずに手にとって、読み終わってから、気づきました!(笑)
とはいえ、前作を読んでいなくても、充分楽しめました。知らないからこそ、ハラハラした部分もあります!
でも、主人公の恵弥の中性的なキャラは凄く好みなので、「MAZE」も読むつもりです!

2018年5月27日日曜日

戦後の話なのに可笑しくて堪らん【あたらしいエクスプロージョン】<感想>

去年の3月に浅草九劇で行われた舞台の脚本です。
第62回岸田國士戯曲賞受賞作品の1つだそうです。
著者の福原充則さんは、連続ドラマ「視覚探偵 日暮旅人」の脚本も執筆されている方でもあります。
戦後すぐ、GHQの影響下で映画を撮ろうとする人々を描いた話です。
死と隣あわせながらも、必至に今を生きようとする人々を、誠実かつ、滅茶苦茶コミカルに描かれていて、凄く面白かったです。
少数の役者さんが一人数役にて、演じられているのですが、それを最大限に活用した演出が凄く面白いです。
風見鶏のようにクルクル変わっていくのが可笑しくて堪りませんでした(笑)

でも、そのコミカルさにも、戦争や死がすぐ隣にいることが、私にはとても印象的でした。
あとがきにて、福原さんのお祖母さんや叔父さんの話がモデルになっていると知って、腑に落ちました。
戦争のことを後世に伝える舞台だったんだと思います。
同じくあとがきで、古本屋さんが好きで、読まなくなったら、古本屋さんに...とも書かれる福原さんの言葉は、後に伝えて欲しいという気持ちも含んでいるのかもしれません。

今回、初めてちゃんと触れた作家さんなのですが、今後も作品が楽しみな作家さんの一人になりました。

2018年5月26日土曜日

泣いて笑った!往復書簡第3弾!【喧嘩上等】<感想>

うさぎさんとマツコさんの往復書簡第3弾!
今回は、対談も多めな印象でした。

文章より視覚的なメディアの方が向いてるとおっしゃられるマツコさんへの配慮かな?

往復書簡の内容にも触れているので、間に挟まれていても、読みやすかったです。

2018年5月20日日曜日

赤穂浪士の裏の小さく大きな恋愛【森家の討ち入り】<感想>

赤穂浪士47人の内、元は森家に仕えていた3人を軸にしたいくつかの連作短編です。
森家も、当時お家騒動でいろいろと大変だった大名家だったそうです。

プライドの高い頭のおかしい女主人公かと思ったけど...【ジャックを殺せ、】<感想(ややネタバレ)>

文章の途中のようなタイトルが気になって、手に取ったものの、序盤は主人公に呆れながら読んでいました。
殺し屋のようなのですが、滑稽なくらいの自信家で、独り善がりで、プライドが高くて、社会を馬鹿にしたような考え方...。ほぼ無職状態殺し屋というのを抜きにしても、関わりたくないタイプです。
でも、一人の女性と同棲しているようで、間に彼女との濃厚なレズセックスも何度か描かれています。ただ、その場面で主人公は組織を追われ、無職...。官能的というより、自堕落な印象でした。
どうしようもなく、ダメな主人公だと思いながら、読み進めていくと、だんだん世界が夢の中のようになっていきます。幻のようなものが現れたり、他人と自分の意識が混ざったり...。
元々、主人公がヤバい人だったので、麻薬でもしていたのかと思ったのですが、もしかしたら、彼女の夢の中の話だったのかもしれません。世界に彼女しかいないような、独り善がりな話に感じました。
ただ、ラストの言葉は面白かったです。これが作者の作品に込めたメッセージなのなら、主人公のこの性格も理解できる気がします。

2018年5月16日水曜日

優しくて暖かい悲劇【ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。】<感想>

第142回直木賞候補作。
母親殺しの容疑者となった親友の行方を追う話です。
その中で、主人公が彼女を追う理由、また主人公自身の抱える問題もどんどん浮き彫りになっていきます。
母娘の関係を巡る話を中心に、20代女性の悩みが取り上げられています。
私は辻村さんの描く母娘関係はあまり好みじゃないのですが、ハラハラして、つい読んでしまいます。ハラハラさせられるだけでなく、ちゃんと落としどころもあるのが魅力なのかなぁとも思います。
また、状況や結末を単純に見ると、悲劇的な話です。救いはあるものの、悲しみや絶望のある結末です。
しかし、それを優しく暖かく、描かれています。ハッピーエンドとは言えないハズなのに、そう言いたくなるラストです。
あと、タイトルの意味は、割りとシンプルです...。だからこそ、ネタバレはしたくない...。
是非、読んで知ってください!物語の中で知るからこその意味があるんです!!私はちょっと泣きました。

今度はオズの国【ドロシイ殺し】<感想>

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メルヘン殺しシリーズ第3弾はオズの国です。
私は、今回こそは犯人を当てようと意気込んでいたのに、
全く分からず、推理をするどころか、ビルと一緒にビックリする羽目になりました...(笑)

2018年5月15日火曜日

どこか愛しい【キネマトグラフィカ】<感想>

自身も映画会社に勤めてらしたという古内一絵さんによる、映画会社のお仕事小説。
入社から約30年後の同期会で再会した彼らがそれぞれの視点で入社して数年後の「ある頃」を思い出すという話です。
正直に言うと、はじめは登場人物たちの年相応とも言える悩みや、昔を少し懐かしむような雰囲気、一言でいえば、リアルな「普通」な部分に物足りなさと少しの不快感を感じてしました。
しかし、読み終わった今、彼らを愛しく感じます。彼らが少し勝手だったりするのは間違いないのですが、そういう表面的な部分の裏で、自身のそういった部分をちゃんと自覚していたり、表面には見せていない葛藤があったりするのです。
人の欠点や短所は、生来の部分と、環境による部分があります。
どちらにせよ、短所を自覚しているのなら、私は受け入れられる気がします。 欠点は「大人になると直しにくい」と言いますが、こうやって付き合って行くのが、大人の欠点への対処法なのかと思いました。
読後、少し心に余裕を持って生活出来そうな気がしています。

2018年5月6日日曜日

主観と客観【夜行観覧車】<感想>

高級住宅街に住む一家の父親が殺された事件を巡る住民達の話です。
住民達と言っても、その事件が起きた一家、ある問題を抱えた別の一家、そしてお節介おばさんが主な登場人物で、彼らの視点から物語が語られます。
別の一家の母親の視点から物語は、始まるのですが、彼女の印象が最初と最後でかなり変わりました。その兆候はあったのですが、本人は自覚していないので...。
人には表面的な部分と内面的がありますが、それを主観的に捉えるか、客観的に捉えるかで、また異なる観えかたをするのでしょう。
お節介おばさんも、違う意味で印象が変わります。
こちらは、前述の母親とは異なり、あまりブレがないように感じ、余計に本人の内面と他人から印象のギャップを感じました。
お節介とはいえ、良心から来るもので、それが独り善がりだったとしても、善には変わりないのです。
人々の勝手さにガッカリさせられる話ではありますが、救いもあります。主に子ども達の中に。大人はもう頭が固まってしまっているということなんでしょうか。
自分をもっと客観的に見て行動する必要があるかもしれないと思います。

私好みな展開!子どもには...?【ニチアサ】<雑感>

ビルドが私好みの泥沼展開になってきて、テンション上がる♪
ダークヒーロー大好きな私にとって、「敵と同じ力で戦う」というのが、仮面ライダーの魅力だったので、今回の展開はとても美味しい(^q^)
こういう展開後、声が変わるのは良いときも悪いときもあると思うけれど、今回は良かった!中身が変わったこと分かりやすいし!!
何より、声が変わってるのに、赤楚衛二さんがちゃんと演技されてるから良かったです!赤楚さんの演技が下手というわけではなく、演出としてなんだなっていう安心感!!
そもそも、始めの頃よりずっと上手くなってます♪他のメンバーも!
子ども向けとはいえ、一所懸命してくださってるんだなぁって、凄く嬉しい...。
ただエンディングが近づいていることを感じます...。去年の9月から放送してるもんなぁ…。
一方、今年の2月からのVS戦隊は今回、女子回!!!
遊園地の女子デート回で、定番な感じの展開!ラストのバトルでは、一瞬ドッキリしたけど、良い回だった☆
また、次回14話は幼稚園の遠足!
こういうリアタイ世代が出てくる話は、いつものとは違う雰囲気で好き!子ども達はどうなんだろ?
プリキュアも幼稚園回だったけど、こっちは妹や弟のいる子達に良いと思います!
真似をして、オムツ替えとか、下のきょうだいの面倒を見たがりそう!
あと、プリキュアも敵サイドの子と友達という展開で好き♪♪
そのうち、あの子もプリキュアになるんかなー?