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「怪物」のホラーも...【泣き童子 三島屋変調百物語三之続】
三島屋シリーズ第3弾!
事始から一年経ったところから、お話は始まります。
私は2巻の「あんじゅう」を飛ばして読んでしまったので、知らないキャラが何人もいたのですけど、それでも、楽しめるようなお話でした。
2巻では、おちかちゃんに殿方が現れていたようで、3巻でもいろんな気持ちで板挟みになりながらも、前に進もうとする彼女が愛しいです。
今回、タイトルに「童子」とつくように子どもの話があるのですが、私は怪物の話が印象的でした。
「怪物」というと物々しいですが、いわば「人の形を離れたような暴力的」なものです。
今までは、1巻は人の心やそこに巣くうようなゾッとする話だったのですが、この3巻では、「災厄」のような圧倒的な「暴力」を持った話も登場します。
そういったことは、人の心に対する恐怖とは全く異なるものです。
宮部みゆきさんはそういったホラーもかかれるんだなぁ...と感嘆しました。
描写や表現もいろいろと工夫が富んでいて面白かったです。
特に上述の「怪物」の話の1つは、語り方に一癖あるものの、読みづらくはなく、楽しかったです。
また、最後の「節気顔」を聞いた後のおちかちゃんの心境の変化が好きです。
世の中のいろんなことは、善悪で言い切れないことばかりだと思います。
特にあの「商人」は「善悪」ではなく、「中庸」であるために、それがより顕著なのではないかと思いました。
2018年7月10日火曜日
いろいろ詰まった怪談【おそろし 三島屋変調百物語事始】<感想(ややネタバレ注意)>
ただ怖いだけのホラーは個人的にあんまり好きじゃないんですけど、これはそんなことなく面白かったです!
特に印象的なのは、着物の描写です。
おそらく江戸時代の話かと思うのですけど、主人公や周りの人々の着る着物の描写が凄く丁寧で、凄い...。
場に応じた柄や色使いや、柄に込められた意味...。
興味なかったけれど、面白かったです!
今も着物の文化が残っているのはこの奥深さなんでしょうね...。
肝心の怪談部分は、伝奇的な怖さより、人の怖さが強く、多角的な意味合いもあり、私好みなお話でした♪
ただその中で、特に怖かったのが、鏡の話です。
ハッキリとは語られていなかったけれど、市太郎さんの行動は姉のために妹を犠牲にする行為で、軽い狂気を感じます。
死後、反省してるんだろうか...。
おちかの「お福さんは~」という台詞は彼らの反省を信じての言葉だったのだと思います。
2018年4月30日月曜日
五人五様の伝奇アンソロ【宮辻薬東宮】<感想>
宮部みゆきさん、辻村深月さん、薬丸岳さん、東山彰良さん、宮内悠介さんの5人の人気作家さんによる伝奇系アンソロジーです。ホラーだったり、ミステリだったりするけれど、どれも伝奇系です。
タイトルは、作家さんたちの頭文字からのようです。
5人中4人は、好きな作家さんだったので、手に取ったのですが、面白かった!
アンソロジーは、ハズレもあるんですけど、これは大当りでした。
薬丸岳さんの作品は初めて読んだんですけれど、凄く読みやすかったです!誰でも楽しめるエンターテイナーな作風という印象を受けました。
他の4人期待通りいや、期待以上の作品でした。あとがきにて、宮部さんは満足のいく出来ではないようなことを言われていますが、ファン的には大満足です!
あとがきは各作品ごとについているのですが、作品とは異なる作家さん自身の雰囲気が出ていて、なんだか可笑しかったです。
また、東山さんと宮内さんは、他の作品と少しリンクしているのも見所です。宮内さんのこのラストで締めるというのが
、何とも美しいです。
2018年4月3日火曜日
語り手の正体への考察【淵の王】<感想&考察(ネタバレ注意)>
舞城王太郎作品らしい、よく分からないけれど、地に足のついたような現実味もある作品です。
「愛」と「女の子」をテーマにした作品が多い印象ですが、今回はそれに「悪意」や「呪い」のようなネガティブなモノが加わっています。
よく「愛」の裏返しとして描かれる「憎しみ」のようなものではなく、「愛」とは関係のない「悪意」です。
また、今回は語り手が、誰だかよく分からない。それどころか、どうやら存在していない存在のようです。
3人の主人公による3つの話から構成されているのですが、主人公ごとに語り手も別々です。
ただし、語り手は主人公を含むどの登場人物とも会話せず、ただ主人公達のことを常に見守っています。
私は、最初ストーカー的な人かと思って、ドキドキしていました。
結局、最後まで明言はされていないのですが、私はそれぞれ次の話の主人公がその存在になっているのではないかと思います。
1番目の中島さおりの話のときは2番目の話の堀江果歩が、果歩のときは3番目の中村悟堂が、そして、悟堂のときはさおりだったのではないかと思うのです。
そう考えると、いくつか納得のいく部分があります。
まず、1番目の語り手は、何故かさおりの知らない本についても知っていました。さおりを通じてしか世界と関わっていないハズなのに...。一方、果歩はいくつかの文学作品に触れています。
次に、2番目の語り手は、最期に「自分が引き継ぐ」「闇を食う」と言い残しています。3番目の話で、この闇の黒幕らしき人物は、その後の主人公、悟堂によって倒されます。
その倒す前、物語の佳境に3番目の語り手が、悟堂を連れ、「光の道」を通ります。「光の道」とはさおりが口にした言葉でもあるのです。
もしこれがあっていれば、果歩の話のワンピースの女性は、さおりなのかもしれません。さおりを好きだったから、もしくは彼女の「功績」を伝えようと無意識に描いていたのかも...。
主人公の死を表現するように、消えていくのが、悲しかったけれど、もし私の考察があっていれば、少し救われる気がします。
時系列的に、違和感を感じるかもしれませんが、それについては、2番目の話にて、広瀬くんが言った「本に書かれたモノ」ということなのでしょう。
また、このときの広瀬くんの豹変に関しては、黒幕らしき「上半身裸の男」の影響だろうとは思いますが、こちらは確信はないです。グルニエの件を含めて、2番目の話は、少し難しい...。
3番目も「怖い話」の部分が割りと本気で怖いままだったり、斎藤さんが再婚相手の名前を隠したり、斎藤さんがかなり謎ではあります。謎というか、深く考えると、怖い...。悪い人ではないと思うのですけど...。
舞城王太郎作品は、抽象的なイメージだけれど、今回は結構理解出来た気がします!
よく分からない部分の説明や、私の考察とは別の意見のある人は教えてくれると嬉しいです。