2022年5月1日日曜日

ただそのまま。是非読んで欲しい:愛と呪い【最終3巻 感想】(ややネタバレ注意)


主人公、愛子の気持ちがフィルタリングなく、ただそのまま詰められた作品なんだなと思った。
なので、もしかしたら、反感を覚える人もいる場面もあるとは思うけれど、これは愛子の気持ちなので、私はこれでいいんだと思う。ベストなんだと思う。

序盤は、引きこもる彼女の自堕落な醜さがとても生々しく描かれていて、そこが素敵だった。
その後の、社会復帰の場面は、私の知らない世界だった。進んで退がってを繰り返しているような展開なのだけれど、私はこういうときこそ、苦しくて助けて欲しい時期だと思うので、ここで描かれていることがとてもありがたいと感じた。
そして、お母さんとの関係。
これは、少し気にかかった部分。“すべての原因がお母さんにある”と言っているような描写があった。本音をいえば、私はそれを肯定できないのだけれど、きっと愛子もただ“母親のせいだ”と言っているのではないのだと思った。
いろんな積もり積もった苦悩、それまでの母との関係。そのうえで、そういう台詞や表現になった。つまり、これは彼女の悲鳴の塊であって、“自分の不幸の原因が母親だ”と言っているわけではないのだと、私は受け取った。
それにより、彼女の想いがそのまま描かれているように思うので、これを私は凄い作品だと思う。

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