2017年6月21日水曜日

ラブキュンでもドロドロでもない恋愛【青が破れる】<感想>

第53回文藝賞受賞、第30回三島由紀夫賞候補作品。
ラブストーリーといえば、「恋の始まり」「運命の出会い」などのキャッチコピーの似合うような恋愛の初期、またはそこから中盤を描いたものをよく目にします。
しかし、この作品は恋愛の終盤を、寂しくも優しく、切なくも爽やかに、描いています。
他人同士だからこそ伝わらない、愛、思いやり、慈しみ...。そういった言葉にならないようなものが静かに描かれているのを読むと、恋愛は始まってからが難しく、美しいものだと改めて感じます。
単行本書き下ろしの「脱皮ボーイ」は付き合い始めたカップルの話、「読書」は別れたカップルの話と、3つとも違う雰囲気ではありますが、ラブキュンでもドロドロでもないカップルたちの通じ合い、通じ合わない想いに、しっとりした気持ちにさせられます。
「脱皮ボーイ」の方は、終わり方にクスッとなります。

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