2017年6月18日日曜日

記憶の持てない世界というSFからのアプローチで... 【失われた過去と未来の犯罪】<感想>

全人類の「記憶」の仕組みが突然壊されたという世界での人々の話です。
突然、誰もが「記憶」が保てなくなるという非現実的な設定ですが、この作品の中では、その事件そのものが重要なのではありません。
第一部では、それに対して混乱しながらも社会を維持しようと模索していく人々、
第二部では、適応し始めた社会で、新たな技術に翻弄される人々が描かれています。
「記憶」が保てないという世界により、第一部では社会システムについて、第二部では「魂」と「心」について、考えさせられ、新たな視点を得られた気がします。
バーチャルリアリティや人工知能といった科学技術の進歩が著しい今、これからの社会を考えるきっかけにオススメしたい作品です。
  
ただ、ラストがスピリチュアルな印象で、よくわかりませんでした...。第二部は哲学的な部分科強いのですが、終盤は特に難しく感じました...。
同じ作者の「アリス殺し」と少し似た雰囲気のラストだったので、何か作者の思想的な意図もあるのかとも思います。また別の作品も読んで考えたいです。

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