2019年8月27日火曜日

理想が近くとも、道は様々:ヒロアカ24巻《感想》

背表紙は仁くんだし、
表紙も敵連合だし、
本編も敵連合VS異能解放軍の中で、

トガちゃんと仁くん、死柄木くんの昔の話が明かされたり...と、本当に敵連合回の1冊。

雄英生の出番ないので、表紙でスピナーが「ヒーロー」を「VILLAIN」に替えようとしているのも、しょうがない!

スピナーの話もあるけど、前に挙げた3人がメインです。
戦いの中で、3人が敵<ヴィラン>となるに至る原因とも言える過去がそれぞれ描かれます。

正直、私は敵連合メンバーの望むものと、解放軍の目標は、根本的にはそれほど違いはないんじゃないかと感じました。
解放軍が目標としているのは、《いろんな個性(異能)が認められ、抑圧されない社会》。
そんな社会なら、トガちゃんはきっと《普通に恋して生きて死ぬ》ことが出来るし、そもそもこんな風には多分なってない。
気月さんや四ツ橋社長の言うように、トガちゃんがこうなったのはこの社会が大きく影響しているだろうから。
でも、彼女の在り方は反社会的だから、解放軍側は「人柱」として利用しようとしたんだと思います。
ただそういう多数派を優先するのは、結局現行の社会と同じだと私は思うし、対称的に、トガちゃんの自分なりに必死に理想へ近付こうとする姿が尊くて、彼女の行動は認められないけど、好きになってしまいました。
一方、社長から「トガちゃんと真逆」と称された仁くん。
彼の場合は、"前科を持った人の社会復帰"という現実にも存在する問題も描いていると思います。
社会からはみ出してしまった人を排除するのではなく、受け入れるというのは、凄く大変ことですが、必要なことだと思うので、ヒーロー作品でそういうことが描かれることにワクワクします。
作中での彼は、敵連合という居場所得たことで、ある意味望みを叶えたとも言えます。
そういうところも、トガちゃんと対称的なのかもしれません。
ただ、居場所というのは、人との関係により成り立つので、一朝一夕に得られるものではありません。
だから、今回のような話があるのだと思いますし、今後の展開も楽しみなのですが、Mr.コンプレスの言うように「ヒーロー物語みたい」です。
そして、死柄木くん。
転弧(幼少期)のときの彼には、凄くデクくんを連想させられます。
ヒーロー側と対称的な展開に、多少予想はしていたものの、ちょっとびっくりです。
でも、だからこそ、235話の副題が「志村転弧:オリジン」で、《ひどく蒸し暑い日》の話が描かれているのだろうと思います。
子どもの頃に出来事は、ちょっとしたことでも、ずっと心に残り得るし、それは他人には伝え難い。
死柄木くんの「壊す」は、望みとか目的じゃなくて、結果に近いように思います。
いろんな想いが混じって、ぶつかって...よし、壊そう!というような...。
分かるけれど、嬉しかったり、楽しかった想いが、悲しい気持ちを引き立てることになっているところが、凄くツラい...。
華ちゃんの「姉弟ヒーロー」という言葉は本気だったと思うので。

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