2020年1月9日木曜日

河野裕の異能力バトルモノ?...:さよならの言い方なんて知らない。

「サクラダリセット」や「階段島」シリーズの河野裕さんの新作、「架見崎」シリーズの第一弾!

《↓以下ややネタバレ含みます。
出来れば、情報なしに楽しんで欲しい作品なので、未読の方は要注意です。》



突然届いた謎の手紙に、消えた幼馴染みの手がかりを求めた少年と少女がとある世界で、戦いに巻き込まれていく...という話です。

異能力バトルモノなので、今までの河野さんの作品とは結構違う雰囲気ではあるのですが、期待以上に面白かったです。

というか、個人的には、今までの作品で一番好きです。
主人公の香屋は、階段島シリーズの七草くんと同じく、主人公は王道系ではなく、ひねくれた癖の強いタイプです。
ただ、七草くんのような冷めた感じでなく、ものすごい臆病者。
でも、この彼の必死な感じが好きです。
以前から増えている圧倒的に強い、「俺TUEE」系とも言われるジャンルとは逆の主人公です。
自分の望む結果のために、知恵も力も出し尽くして、恐怖に震えながら、立ち振る舞う様子は、主人公らしくはないけれど、凄く好感が持てます。
また、バトルシーンも肉弾戦の描写もありますが、心理的な駆け引きが凄くハラハラします。
特に、政治的(?)な駆け引きの部分が凄いドキドキでした。
裏と表、本命とフェイク。
分かってしまえば、難しくないことも、一見分からないように、書かれていて、ワクワクしました。
他にも、叙述トリックとか凄く意味深なよく分からない言葉とか...。
後半は、いろいろと展開がおり、気になる雰囲気で終わっています。
正直、最後にしてやられました...。
続きが気になるだけでなく、つい読み返したくなる終わり方です。
 
あと、「いつも、いくつもの言葉を塗りつぶしている」っていう「階段島シリーズ特別掌編」の付録(?)が付いていたんですけれど、メッチャ良かったです!
(※広告のような蛇腹に折られた冊子なので、商品に必ず付いているわけではないかもです!)
実は階段島シリーズは途中までしか読んでなかったので、ネタバレがあったらどうしようか不安でもあったのですが、堀さんと七草くんのちょっとした話で、階段島シリーズを読んでなくても、楽しめそうな内容でした。
登場人物達の駆け引き...とまでは行かないけれど、相手を想い合うやりとりが良いなぁと思います。
優しい雰囲気の「青春」という感じの話でした。
ただ、架見崎とは直接関係のない話です。

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