2018年12月2日日曜日

中学生とそのご両親へお薦めしたいミステリ【探偵は教室にいない】《感想》

第28回鮎川哲也賞受賞作です。

本音を言えば、序盤は物足りなさを感じました。
でも、読み終わってみれば、中学生らしいキャラクターと中学生らしい悩み、推理小説というジャンルに自然に落とし込んだ、とても素敵な作品でした。

取り上げられているテーマは、誰もがどこか心当たりのあるような話から、時代にあった「今の中学生はこんな感じなのかなぁ」という出来事まで、幅広く、どれも優しく描かれています。
大人が読んでも楽しめるとは思いますが、私は登場人物達と同世代の小中学生、そして、そのご両親にオススメしたい作品です。

 
恋愛、クラスメートとの衝突、友情...。
穏やかながらも芯の強さもある主人公、気の強い美人な親友、チャラいけど楽しいクラスメートに、何となく気になる穏やかな男友達...。

...といった、ジュブナイル小説としては、割りと定番なキャラクター達の中に、“ 頭はキレるが、性格に難ありな探偵 ”というこれまた定番が混ぜこまれています。
ただこの「探偵」も同級生であることで、ジュブナイルの特徴が強くなり、読みやすくなっています。
序盤は、彼の生意気さがややラノベチックにも思えたんですけれど、だんだんそれがクセになります(笑)
また、甘党の彼が飛び回るように通う喫茶店やケーキ屋さんも見所です。
実在するお店のようなので、北海道に行くときには是非行きたいです!
自分のメモも兼ねて、ここで挙げてしまいますが、「カカオ10g」、「FRUITS PLANET余市店」(現フルティコ(?))、「スターバックス」(円山公園向かい)が作中で店名の出てくるお店です。
札幌を中心とした北海道西部が舞台のようですが、とても丁寧に描かれたいるので、実際にその地域を知っていれば、楽しいだろうなぁと思います。

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