2018年11月29日木曜日

「恋」の先で家族というより...【されど私の可愛い檸檬】《感想》


2ヶ月連続刊行作品集2弾の「家族篇」です。
1冊目「恋篇」感想→

この作品は3作収録されています。
内「トロフィーワイフ」と「ドナドナ不要論」は、主人公の年齢層が他のより少し上がったような、やや落ち着いた視点です。
また、本と同じタイトルの「されど私の可愛い檸檬」を含め、比較的読みやすくて、分かりやすいと思うので、これまで舞城王太郎作品を読んだことがない人にもお薦めします。



いつも書いてるかもしれないけれど、舞城王太郎作品といえば、「女の子」とその彼女への「愛」。
この「家族篇」はその先を描いたような作品集でした。
今までの作品では、世界に等しいほど力強い「恋」や「愛」が描かれていたましたが、どれも若者のものだったんだと思います。
愛しあう二人の世界も、心の内の熱い想いも、きっと若くて未熟な愛なんです。
世界は、二人だけのものではなく、家族や会社といった集団の中で、いろんな人と関わって生きていくものですし、そこで必要なのは一途さや愛の強さではなく、合理性や相手が必要とするものです。

家族篇とされていますが、一般的な家族だけでなく、他者もしくは社会との家族の関係について、描かれている部分が多く、社会全体を家族に含めようとしているようにも感じられました。
なので、いろいろと社会で生きる中での心の持ちようについて、納得したり、反省したりする部分もありました。
ある意味、「恋愛」以上に相手の気持ちを考える必要があるのかもしれません。

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