2018年7月22日日曜日

「怪物」のホラーも...【泣き童子 三島屋変調百物語三之続】

三島屋シリーズ第3弾!
事始から一年経ったところから、お話は始まります。
私は2巻の「あんじゅう」を飛ばして読んでしまったので、知らないキャラが何人もいたのですけど、それでも、楽しめるようなお話でした。
2巻では、おちかちゃんに殿方が現れていたようで、3巻でもいろんな気持ちで板挟みになりながらも、前に進もうとする彼女が愛しいです。
今回、タイトルに「童子」とつくように子どもの話があるのですが、私は怪物の話が印象的でした。
「怪物」というと物々しいですが、いわば「人の形を離れたような暴力的」なものです。
今までは、1巻は人の心やそこに巣くうようなゾッとする話だったのですが、この3巻では、「災厄」のような圧倒的な「暴力」を持った話も登場します。
そういったことは、人の心に対する恐怖とは全く異なるものです。
宮部みゆきさんはそういったホラーもかかれるんだなぁ...と感嘆しました。
描写や表現もいろいろと工夫が富んでいて面白かったです。
特に上述の「怪物」の話の1つは、語り方に一癖あるものの、読みづらくはなく、楽しかったです。
また、最後の「節気顔」を聞いた後のおちかちゃんの心境の変化が好きです。
世の中のいろんなことは、善悪で言い切れないことばかりだと思います。
特にあの「商人」は「善悪」ではなく、「中庸」であるために、それがより顕著なのではないかと思いました。

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