2018年11月3日土曜日

シリーズの節目的な1冊【あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続】《感想(ネタバレ控えめ)》

「三島屋変調百物語」の第5弾です。
1冊だけでも分厚いですが、中は短編で、 時系列順に全て読むのが、一番だとは思いますが、全作を読まなくても楽しめるのが、このシリーズの特徴だと思います。
ですが、

この第5弾は物語にある区切りがつけられる展開があります。
なので、6作以降を読む前に読んでおきたい話でした。
時系列関係なく読んでいた私ですが、たまたま6以降の前に、5巻を読めて良かったです!
 
ネタバレ控えたいので具体的には書きませんが、区切りというのは、作中のある出来事が決着し、また新たに始まるということです。
言うなれば、《終わりと始まりの5巻》です!

この展開の中で、決着に向かうまでの「百物語」が《人生の終わりとしての死》を意識させる話が多いのが印象的です。
ホラー作品には「死」が単なる恐怖として蔑ろになってしまっているものもありますが、《生の終わり》だから、本人や周囲の残される者に恐怖や不安を与えるのです。
今作を読む中で、私は自分が近親者を亡くした頃のことを思い出しました。
ただ、そこあるのは怖いという想いだけではありません。

《終わり》ということはそこにどう向かうが重要になるのです。
多くの怪異を聞き捨てきたおちかにはきっとそういったことも分かった上で、彼の心に想いを馳せ、今回の決断に至ったのでしょう。
読者的にはびっくりでしたけど…(笑)

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