2018年2月13日火曜日

現代社会で不安や不満を抱えるあなたへ【オールド・テロリスト】<感想(ネタバレ控えめ)>

「オールド・テロリスト」というタイトルから、おじいさん達が国家相手に何かするコミカルな小説かと思って、手に取りました。
でも実際は、酷いテロリストでした。昔、観た銀行強盗の映画「スペーストラベラーズ」のような物語を想像していたのに...。一応、チームも登場しますが...。
この作品のテロは、容赦がなく、無慈悲で、狡猾で...。テロや戦争はこういうものなんだろうとは分かっていても、とても辛いです。
ただ物語は凄く面白かったです。村上龍作品を読むのは、久しぶりだったのですが、景色や心理の描写も物語の展開も凄く秀逸でした。きっと取材にもとても時間をかけた作品なのだろうと思います。

私が物語の中で心を引かれたのは、登場人物達の不安や不満、そこから生まれるいろんな想いです。それらは心当たりのあるモノでした。
今の社会、特に都会にはいろんな人がいて、そこで生活する中といろいろと悩みが生まれます。そういった不安や不満が大きく膨れ上がって、気持ちを圧迫し、時には生活に支障を来すこともあります。そして、そこから自殺や犯罪という結果に至ってしまうこともあります。
そういう悩みを抱えた人に、オススメしたい作品でした。
文藝春秋にて、3年に渡って連載された長編で単行本もかなりの厚さではあるのですが、現在、文庫化もされているので、是非読んでみてください。血生臭い場面が終始多いですが、納得の行くラストでした。

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