2018年2月8日木曜日

失恋した女性に贈りたい落ち着いたミステリ【木洩れ日に泳ぐ魚】<感想>

男性と女性、二人の主人公の視点から交互に語られるある出来事の話です。推理小説ではないけれど、ミステリです。
そしてなぜか、男性の主人公視点で、伊坂幸太郎作品を読んでいるような気持ちになります。
こういう風に、作家さんを別の作家さんを比べるのはあんまり良くないと思っているのですけど、大切な女性への視線というか、気持ちの向け方が、伊坂幸太郎作品のキャラクターと似てる気がするのです。知的ながらも影があるところにそう感じたんでしょうか...。
もしかしたら、私が知らないだけで、世の男性の多くはこういう一面を持っているのかもしれません。
一方、女性主人公も、世の女性が抱える強さと嫌らしさを胸に秘めています。
この物語はある事件の真相に迫る中で、ある家族の事実が明らかになっていく話で、かなりドロドロとしています。疑心暗鬼で重々しい雰囲気なので、苦手な人にはオススメしません。それでも、彼らの生々しい本音は鏡のように、自分の中の短所を見せつけて、受け入れるチャンスを与えてくれます。
読んでいる間は、忘れてしまいがちな展開なのですが、恋愛小説でもあります。なので、失恋から立ち直りたいけど、痛快コメディではなく、少し落ち着いた話が読みたい!という方にオススメです。

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