2018年4月3日火曜日

羨ましくなるダメカップル【劇場】<感想>

劇団の脚本を書くコミュ障な青年と役者を目指して上京してきた服飾系大学に通う女性の純愛小説です。
この主人公の青年は、頭がおかしいと思うくらいに、奇抜な行動を起こします。内面もやや独創的ではありますけれど、傍目から見ると、完全にアブナイ人です。
そんな彼に合わせることの出来るヒロインが優しすぎて、私は最初あまり好きではありませんでした。
主人公を騙してカモにしようとしてるんじゃないかと疑ってすらいました。
 
でも、彼女の台詞に思わず、本を閉じてしまう場面がありました。
彼とのどんな話も友だちに話す彼女に対して、彼が不満をぶつける場面です。
彼の勝手な気持ちをぶつけられながらも、理解しようとする彼女が、あまりにも健気で...。
また、彼は彼女のことを分かっていながらも、彼なりの葛藤があったために、つい彼女に気持ちをぶつけてしまっていることが分かるので、余計に彼女の様子が切なくて、読み進めるのが辛くなってしまいました。
 
その後も、彼のダメ男っぷりは変わらず、周囲からの干渉もあったり、いろいろとあるのですが、優しい結末が待っています。
一見、ダメなカップルに見えるのですが、何故か羨ましく思えました。
お互いがお互いをとても大事に思っているからかもしれません。
ただ表面的には、その一部しか見えないからこそ、いろいろと問題が生まれるのです。
恋愛の話でありながら、純愛小説として描かれているので、そういった部分が凄く際立った作品でした。

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