2018年4月29日日曜日

最初は全然面白くないけど...【百年泥】<感想>

第157回芥川賞を「おらおらでひとりいぐも」とともに受賞、また第49回新潮新人賞受賞作品でもあります。
芥川賞受賞作品なので、文学作品です。
ハッキリ言ってしまえば、全然面白くないです。前半部分は。
淡々とし過ぎる描写にもかかわらず少し不思議な世界、また、主人公のクドクドと長い語り、そしてその性格などに、ウンザリしました。
変な男に引っ掛かるのも、そのせいでインドに来ることになったのも、彼女自身の性格、自分本位ともいえる考え方が原因だと思いました。
ただ、私は気にくわなかったけれど、彼女のような考え方の人は世間には多いのではないかとも思います。他人に優しくするのは、なかなか難しいことです。

後半部分は、文学作品らしい抽象的な雰囲気ではありますが、面白かったです。
特に、日本語教室のある生徒の過去話と、主人公の過去話が好きです。
主人公の昔の話は、生徒の話への布石のような役目もあるとは思いますが、彼女の幼少期を知ることで、彼女への嫌悪感も和らぎました。
現在を作っているのは、過去の積み重ねであり、今見えているモノは一部分でしかない。
泥から出てきた五巡目の男を取り合う人々。彼らがそれぞれに見ていた彼は積み重なっていないかもしれないけれど、彼には変わりない。
人は表面的な部分以外があるということは当たり前のことですが、忘れがちです。ただ、少しでも心に留め置くことが出来れば、もう少し人に優しく出来るかなぁと考えさせられました。

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