
SFラブコメ最終巻です。
1巻からのいろんなものをとても綺麗にまとめていった優しいエンディングでした...。
ただキャラの幸せよりも、作者のメッセージ性をもっと強く描いてもよかったなぁ...
この作品では、「命」を描く際に、優しさだけでなく悲しさもハッキリ表現されているのが、私は好きだったので、ラストで、重々しさや残酷さがもっとあっても良かったのになぁ...
...などと思いながら、何度か読み返していたら、ちゃんとそういう側面も描かれていました。
自然に描かれているので、見落としてしまったのですけれど、メッセージを押しつけられている感じがしなくて、凄く受け入れやすかったです!
ついつい、主人公の岬一につられて、見逃してしまったけれど、先輩の言う通りマハは「命」を大切に思っていました。
でも、永い年月を経て、今の彼の考えに到ってしまってる。
それは悲しいことで、善悪では割り切れないことなんだけど、まだ「十数年しか」生きていない岬一には、分からないだろうし、マハの哀しみの深さは先輩にもきっとはかりしれないのだと思います。
マナは一番理解出来ていたのかもしれないけれど、彼女との間にさえ、永い「時間」の壁が...。
また、ラスボスを力で捩じ伏せた主人公も、同じように過去に囚われているという展開も好きです。
前述のように岬一は、マハの想いに寄り添うことなく、彼を打ち破りますが、岬一自身も凪への想いに囚われています。
大切な人を喪った哀しみを抱えているという点では、同じなのに、二人を対比させずに描かれているのが、気になりました。
先輩の台詞に『経験が私を構成している』という意味のものがあるのですけれど、マハと岬一の違いもこの「経験」にあります。
当たり前ですが、二人の重ねてきた時間も、周囲の環境も全く別のものです。
だから、二人を対比させて、どちらが正しいという問題ではない...ということを表現されているのだと思います。
ただ、そういうことを抜きにしても、凪とのこの場面は本当に良かったです...。
凪が本当にかっこいい...。
この最終巻で一番好きな場面かもしれません...。最初読み終えたとき、岬一がマハを力で打ち破った点が凄く気にかかりました。
彼の真っ直ぐな素直さは正しいというには、未熟に思えたのです。
しかし、読み返してみて、先輩が岬一と違う想いも持っているという部分を見落としていたのに、気づきました。
これまでに凪やマハいろんな人と関わってきて、今先輩やリコ、アイラさん、地球くん...といったいろんな人に囲まれているからこそ、今はまだ未熟なままでも良いのです。
正しい道はひとつじゃありませんし、しっかり前に進んでいるのですから。
0 件のコメント:
コメントを投稿