2015年5月29日金曜日

“弱者”の話:「熊の場所」感想


“弱さ”持っ人たちの短編。
 舞城先生らしい“過激さ”は、最後の「ピコーン!」以外はそんなに強くないので、初めて読む方にもオススメです。

  • 「熊の場所」

    第15回三島由紀夫賞候補作品。
      恐怖に直面したときに人は、どうするのか...。
    日常に溶け込んだ非日常を見つけてしまった主人公は、恐怖を克服するが...。
     <熊の場所>にはすぐに戻るべきなのだと思った...。
    怖いからこそ、恐怖に立ち向かい、克服しなければ、恐怖は時と共に膨らんでいくのかもしれない。
  • 「バット男」 

     皆のストレスの捌け口にされるバット男。
    彼のことを考え、立ち向かうことを望みながらも、自分から関わらない彼こそが本当に弱者だったのだと思う...。
     周りから見て幸せな人生だけれど、彼は満足なのだろうか。

  • 「ピコーン!」

    第56回日本推理作家協会賞(短編部門)候補作品。
      単行本刊行時の書き下ろし!
    エロと暴力が増し増しの舞城王太郎さんらしい過激な内容です!
     前の2作品の主人公が、他の虐げられている弱者を見て、苦しみや葛藤など様々な想いを覚えるのに対して、この主人公には逆境にも適応して、立ち向かう強さを感じた...。
     また、「バット男」の登場人物っぽい人も一瞬登場します!
     それから、これはある意味ネタバレだけど、「COAGLLA」は「coagula」のミススペル。
    「coagula」は「凝塊」のこと。coagulateで凝固させる(する)という意味。

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