2017年9月9日土曜日

ドキドキして切ないミステリー【不安な童話】(感想(ネタバレ控えめ))

<ある「才能」を持つ万由子。ひとりの女性画家の遺作展をキッカケに、25年前の彼女の殺人事件に関わっていく…。>
「生まれ変わり」や「超感覚」のようなオカルト的な要素を少し含みながらも、ファンタジーではなく、「親子」や「恋愛」といった人間関係が肝となるミステリーです。
しっかり伏線も張られているので、結末を知ってしまうとなんてことはないけれど、読んでいるときには、誰が犯人だったのか、全く分かりませんでした...。そこが、探偵役の天才さを自然に表現しています。
ただ『驚愕のラスト』というよりも、『切ない真相』という印象です。事件の真相についても、犯人の行動についても、切なくて、悲しい。万由子の言うように今度は「誰も間違えていない」と思いたい。
エピローグは少しぞわっともします。事件の真相として、語られなかったこのエピソードがあることで、また事件への感じ方が変わります。でも、私はこのエピローグ好きです。このエピローグのあとに読み返すと、ハッキリとは語られていない想いを感じて、この話はそこまで悲しいものではないのだと思えます。

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