2018年7月18日水曜日

集大成的な古谷田奈月の父子【無限の玄】<感想(ややネタバレ注意)>

第31回三島賞受賞作品の「無限の玄」と、第159回芥川賞候補作品の「風下の朱」という二作が収録された古谷田奈月さんの新作!
去年受賞を逃したを、今年は三島賞を受賞された上に、芥川賞候補の作品まであるなんて、ファンとして、喜びこの上ない...
今回は受賞逃されたけど、三島賞も去年は逃されてるし!!

先に「無限の玄」を読んだので、とりあえず感想を...
今回は音楽家族の話です。
家族といっても、女性が出てこない...。
そして、死んだ父親(玄さん)が何度も蘇る...タイトルは正しく彼の事です...。
一見、ホラーのようですが、メインは父と子の話です。
古谷田さんの父子の話が好きなので、「おお!」と思ったのものの、少しあからさまに父子の話過ぎると、序盤は思っていました。
個人的には、主軸となる話の横にある父子の話が好きなので...。
しかし、祖父や叔父、甥との関係により、緻密に描かれています。
序盤ではあからさま過ぎると感じた父子の関係ですが、読み終わってみれば、今までの古谷田奈月さんの父子の特徴が内包されています。
「星の民のクリスマス」のような愛や、「ジュンの6つの小曲」の控えめな優しさ、「リリース」のようなドロドロ、そして「望むのは」のような同族嫌悪...。
これまでの作品が好きなら、絶対オススメですし、読んでなくても、今回読んで気に入った方は、是非過去作も読んでみてください!!!
2018年7月現在、上記の四作しか単行本出ていないので、チャンスです!

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