2018年2月18日日曜日

怪しげな団体を扱った読み易い文学作品【星の子】<感想>

怪しげな団体に所属するある家族の女の子のお話で、とても読みやすい文学作品です。
第39回野間文芸新人賞を受賞している他、芥川賞や本屋大賞の候補になった作品です。こんなにいろんな賞の候補になっていると、ちょっと敬遠してしまう人もいるかもしれませんが、難しくないし、面白いし、私は好きです。
ライト文芸ほど、軽くはないけれど、大衆小説のような読みやすさがあります。それでも、物語の展開や結末の余韻には文学作品らしい味わい深さがあるので、そういった作品を読み慣れない方にもオススメです。

以前ほどではないかもしれないけれど、今でも駅前でよく分からない宗教団体が何か叫んでいたり、家に怪しげな訪問販売の人が押し掛けてきたり、という話を耳にします。
私は、こういう団体に騙されるのが怖くて、彼らのことを酷い偏見の目で見ていました。ただ自分が偏見を持っているということを自覚しておらず、この作品を読んで、自覚して、考えさせられました。
怖い気持ちが先行して、忘れがちなのですが、彼らも私たちと同じ普通の人なのです。ただ習慣や考え方が違うだけです。当たり前なのに、私は忘れていました。
だからといって、執拗な勧誘に巻き込まれるのは迷惑なのですけれど...。それでも、こちらが偏見を持って接するのは、良くないことだと自覚させられました。
こういう無意識の悪意や敵意というか、ネガティブな感情は、常に少しは抱いていると思います。ただそれが少しずつ増えていって、いつの間にかかなりの量になっているのに、自分では気づいていないということがあるのではないでしょうか。
私は人に対して敵意や悪意を抱くことを当然のように思ってしまうのはすごく怖いと思います。

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