2018年10月27日土曜日

眉美くんだからこそ、この話【美少年M】<感想>

美少年シリーズ第9作目です!
表紙は読み終わってから、見ると納得です!
私は、帯の台詞が出た場面で表紙を改めて見て、
眉美くんのかっこ良さにため息が出ました。

キナコ先生の美少年は本当に最高です!
そして、今回は...
<女学校へ敵(胎教委員会)の手がかりを求めて潜入捜査>
しかも、眉美くん一人での捜査!!!

なので、
他の探偵団メンバーの出番はほとんどありません!
表題と同タイトルの「美少年M」の他に、美少年探偵団の日常の描かれた「審美眼」、犯罪集団トゥエンティーズの麗さんが札槻くんに相談を持ちかける「札槻嘘の禁じられた遊び」の三作が収録されています。
他の美少年探偵団団員は「審美眼」でのみ登場します。

つまり、いつも以上の眉美くんの一人語りで物語が進められます...。
最初は、途中で飽きないか不安だったんですが、一気に読んでしまいました!

相変わらず、キャラと舞台の設定が魅力的です。

ただ今回、面白いと感じたのは、あとがきで挙げられている「4つの視点」です。
眉美くん一人の話でこの話題をあげるのか...と思ったのですが、よく考えれば、眉美くんの話だからこそなんですね。

なぜなら、彼女は「美観の眉美」。
あとがきで明言されてはいませんが、3つめと4つめもきっと彼女の視点。
ただし、彼女の主観ではなく、仮想的な客観視点と観測者的視点。
観測者的視点は語り部としてのものでしょうが、仮想的な客観視点は、美少年探偵団として過ごしてきた彼女だからこその個性があり、面白く、また彼女自身の成長を感じさせる部分であります。
側で「観」てきたから、団員達の発想を想像して、自分の力に出来る。
一人でも「団である」ことが出来るのは、きっと団員の中でも「美観の眉美」だけでしょう。

また、仲間だけでなく、相手や他の大勢、そして少数派にも気持ちが及んでいるというのも、彼女の視野が拡がっていることの顕れだと思います。

あとがきの「クズになることで対応」というのは、いろんな視点を持った上でどう柔軟に最良な結末を得るか模索するということだと思います。
私としては「クズ」というより、《素直なひねくれ者》という印象ですけれど...。

次回作「美少年蜥蜴」は、「節目的」なものになるそうですが、他の団員達と共にどんな活躍が見せてくれるか楽しみです。

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