2021年7月19日月曜日

子どもの少し哀しく優しいお話:アマリリス【短編集 感想】(ネタバレ注意)

『サムライうさぎ』や『ボクらは魔法少年』で知られる福島鉄平さんの6本の短編集です。


『魔法少年』が好きなら、是非オススメです!
そちらを知らなくても、子どもが主人公の少し哀しいお話が好きならば、是非是非読んでみてください!


まず、ひとつめの『アマリリス』。
夜のお仕事に落とされた少年とあるサッカー少年のお話。
私は数ページめでボロボロ泣いてしまいました...
表題になってるだけあって、特に何度も読み返したくなる作品でした。
巻末にエピローグもあるんですけれど、待ち合わせに使われた「カフェ・ド・カティア」。
もしかして、カティアのお家なのかなぁ...
二人の別れは、ジャンが決心していたことだから、カティアが悪いということじゃないという暗示なのかなぁ...
などと、いろいろ考えました。

次の『イーサン飯店の兄弟は今日も仲良し』。
これは、タイトルに惹かれた方は是非!
他のに比べて、王道的です。
こういうお兄さんに憧れる...

そのあとの『ハルよ来い』は、捨て子と山姥の話なんですが、全然予想がつかず、ドキドキ読み進めました。
きっとこれは育児の大変さとそのときの周りとの関わりについて描かれているんだと思います!

4つめの『ルチア・オンゾーネ、待つ』は唯一女の子が主人公のマンガです。
この短編集の中でこれが特に一番好きです!!
『アマリリス』と、この後に紹介する
『私と小百合』も好きです
この3つがこの中で特にお気に入りなんです
孤児院に預けられる我儘なお嬢様の話なんですが、ただ彼女が改心する...という話ではないんです。
そもそもそんな簡単に自分を変えることなんて出来ないし、
出来ても、それまでの態度が酷いなら、
周りがそれに対応出来ないというところが、
現実的で好きです。
そして、そんな彼女が選びとった結末も、少女ベッラも好きです。
ベッラが好きな人向けな話が『スイミング』という短編集にあるそうなので、
買おうか迷っています...。

『私と小百合』は女装する男の子と硬派な男の子の話です。
それだけ聴くと、恋愛に発展しそうに思いますが、男の娘がそれを恋愛にしないところがこの作品の面白いところです。
そのことが、彼らの内面へより深く考えさせてくれているようにも思います。
でも、見た目は凄く可愛いです。作者自身も「一番かわいい」と言われるほど...。


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