2018年3月22日木曜日

他人を鏡とすること【愚の骨頂 続・うさぎとマツコの往復書簡】<感想>

「うさぎとマツコの往復書簡」の続編です。
前作の話題もありますが、注釈もあるので、読み返さなくても分かります。

また、前作以上にうさぎさんの文章が華やか且つ、イキイキとしてて面白かったです。同時に情報量も多いのですが、マツコさんのサッパリした文章と交互になっているので、読みやすいです。


中村うさぎさんは別の作品で「他人は自分の鏡」ということを書かれていたのですが、「往復書簡」を読んでいても、マツコさんを自分の鏡にしているように感じました。

前作のときから、何度もマツコさんの内面に斬り込む場面があるのですが、そうして熱く論じあう中で、自分の気持ちに気づけたと述べられる箇所が何度かあります。
うさぎさんは「相手を知りたい」という気持ちも強い方なのでしょうけれど、それだけではなく、相手を知ることで自分を深く理解しようとしているように感じます。

度々、マツコさんを「魂の双子」と言うのも、似ているようで、全く違うマツコさんを知ることで自分を見つめてらっしゃるのかなぁと思いました。
 
また、震災の後頃に連載されていたものなので、その頃の心境や政治に関する話も話題にあがっています。
時事ネタは、今読むともう昔の話なのですが、当時の東京近辺での様子を見ていない私には、少し新鮮でした。
テレビごしにしか知らなかった首都圏での不安感を生々しく感じました。
 
もうひとつ印象的だったのが、「新聞も記者の名前を明記すべき」という意見です。
先日、某新聞を読んだとき、どの記事も書いた人の思想が溢れ出していて、ゾッとしたのを思い出しました。
その時は、偏向報道だから不愉快になったのだと思ったけれど、このお二人の言うように、多様なメディアの内の1つとしてなら、受け入れられるように思いました。
せめて、匿名でも、ペンネームを使うとか、新聞の名前で思想の特徴を表すとか、工夫をして欲しいです。少なくとも、単純で公正なだけの報道のフリをして、どこかに偏ったニュースを流すのはやめて欲しいと思います。

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