2018年3月16日金曜日

家族愛に満ちた宮沢賢治【銀河鉄道の夜】<感想>

第158回直木賞受賞作品です。
「宮沢賢治の父親の話」と紹介されていることも多いですが、正確には、「賢治の父と賢治自身の話」です。要するに、タイトルに2つの意味があるのです。
私は「雨ニモ負ケズ」のイメージが強く、宮沢賢治はお百姓さんなのかと思っていました。けれど、実際は質屋の息子でした。
しかも、かなり大切に育てられたお坊ちゃんです。
時代的にな違いはあっても、彼らのような関係の親子は現代でも多いのではないかと思います。
恵まれた家庭で育てられた彼は、自分勝手とは言わなくとも、割りと自分の意志を通せる環境のようでした。
それでも、自分本意な我が儘お坊ちゃんではないのは、父親を筆頭とした周囲の適度な愛情によるものなのだろうと思います。
作品全体としては、賢治と父の不器用ながらもお互いを思いやる様子がとても美しいです。
けれど、賢治と妹との関係も私は好きです。
好みが別れる部分かと思いますが、妹のトシは「宮沢賢治」を知る上で欠かせない存在です。彼女の書いたものももし残っているなら、読んでみたいと思っています。

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