2019年2月27日水曜日

思春期のドキドキと「メメント・モリ」【七月に流れる花】《感想》(ややネタバレ注意)

謎の林間学校を送ることとなった少女たちの一夏のお話です。
本の帯に「ダーク・ファンタジー」とあったけれど、私はファンタジーより、ミステリっぽいと感じました。
そんなに長くないので、読みやすいです。
ただ、ドキドキしたい人にオススメな作品ではないです。
夏の人」という緑色の謎の人物がいたり、少女たちの中にある秘密があったり...と不穏な雰囲気が漂っていて、ドキドキしますが、真実は予想外なものでした。
なんというか、感情のベクトルになって、別の方向でびっくりしました。

でも、もう一度読み直すと納得させられます。
ドキドキする部分は、「ある地域の文化に対する余所者の視点」からの不安感からだと思います。
それが現実をファンタジーのようにも感じさせています。

たしかに、このくらいの頃まで、慣れない場所は凄く怖く思えたなぁと懐かしく思いました。
この作品で重要なのは、こういう思春期の少女たちの抱えるいろんな感情なのだと思います。
「ある出来事」を前に多感な少女たちが、どう感じ、どう振る舞うか。

作中に「メメント・モリ」という言葉が出てくるのですが、私にとってこの作品をイメージを表す言葉のひとつです。
タイトルの「花」に関する話で、出てくる言葉なのですが、後半の展開にピッタリな言葉だと思いました。
物語の謎はほぼ解決するのですが、ひとつ分からないままの謎もあります。
場合によっては、ある少女の印象が180度変わってしまうようなドキドキな謎なんです...
続編の「八月の冷たい城」で明かされそうなので、そちらも読もうと思います!

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