2017年12月31日日曜日

セックスレスな奥さんの話なのに...【奥様はクレイジーフルーツ】<感想>

セックスレスな人妻の話というと、ドロドロな恋愛モノや、官能的な展開を想像しますが、

この作品はそんなことはありません。

「浮気」や「不倫」、「セックス」などがテーマになっているにもかかわらず、エロチックというよりも、どこか滑稽で、クスッとさせられる話です。

どの話も果物がタイトルに入っていて、その果物らしい話になっています。
個人的には、グレープフルーツの話と、柚子の話の苦くて酸っぱいところが好きです!
また、主人公は初美が滑稽ながらも、どこか感情移入させられるような普通な女性で、すごく引き込まれます。
『夫との関係は良好なものの、セックスレスで欲求不満な日々に悩む人妻』...というありがちな設定です。
が、彼女の言動は、どこか可笑しくて、可愛らしくて、憎めない。共感出来る部分もあるからこそ、客観的に見ていて、笑ってしまう...。 
男性からモテそうだけれど、「 理想の女性」ではなく、「身近にいそうな女性」で、しかし、何だか憎めない...そんな彼女のことを滑稽に思っていたのに、最後には凄く羨ましく思ってしまう...そんな奥様の話でした。
   
著者の柚木麻子さんは、名前だけは知っていたけれど、作品を今まで読んだことがありませんでした。
でも、朝井リョウさんのエッセイで、「ダンス仲間(?)」として、登場されたのをみて、どんな作品を書かれているのかと思い、今回手にとってみたんですが、さすが朝井さんと「悪ふざけ」をされている方だな...という印象です。
柚木さんだからこそ、初美という女性をこんな風に素敵に描けるんだと思います!

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