2018年9月1日土曜日

硬派な記者ミステリ【友を待つ】<感想>


ジャーナリストを主役にした作品で知られ、ご自身も新聞社に勤務されていたという本城雅人さんのミステリ小説。
今回は週刊誌の記者の話です。

登場人物たちの思惑が交錯していて、複雑で、やや長編ですが、最後はスッキリします。


物語は、有能な記者の先輩「だった」人が「下着泥棒」で捕まることから始まります。
「下着泥棒」が彼らしからぬ行為だったために、後輩だった記者が真相を追うのですが、その中で、「だった」という理由や、そちらの真相も明かされていきます。

最初は分からないことだらけなのですが、中盤からはパラパラとページを捲るにつれて真相が見えてくるようで面白いです。

また、物語視点は、後輩記者、元相棒記者、担当になった警察官の3つなのも、面白いポイントです。
一見、記者の二人だけ、もしくは警察と記者という2つの視点だけで良いようにも思えますが、この三人だからこその面白さがあります。
読者視点に近い後輩記者、問題の記者をよく知るが現場を離れた元相棒、別の視点から真相を探る警察...。
彼らの抱えている問題も、事件と無関係という訳ではないのですが、それがごく自然に描かれています。
無理に絡ませているのではないところに本城さんの実力を感じました。

コミカルではなく、ハードボイルドめな雰囲気ですが、凄く満ち足りた気持ちにさせられる作品でした。

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