2018年9月24日月曜日

王道だが現実感もあるファンタジー【とんがり帽子のアトリエ 4巻】<感想(ネタバレ注意)>


王道ファンタジー成長談第4巻です!
魔法に憧れる普通の女の子、ココが、魔法の世界に足を踏み入れ、仲間と成長していく…というのは、定番ではありますが、テンプレに収まらない魅力があります。


まず、ココと一緒に魔法を学ぶ「アトリエ」の女の子たち。
ガーリーなテティア、優等生のアガット、マイペースなリチェ。
ココの登場で彼女たちの心にも少しずつ変化が生まれますが、変化を与えるのは主人公だけの役目ではありません。

今回は、アガットとリチェの試験の話です。

<ココとの出会いで、視界が広くなりつつあるアガットに対し、未だ自分の魔法に頑ななリチェ。しかし、もう1人の受験生ユイニィの自信のなさを見て、リチェにも変化が生まれます。>

フィクションでは、何事も主人公を中心に起こりがちですが、現実ではいろんな人の関係が交わりあうことで、こんな風に少しずつ成長していくものだと思います。

また、「アトリエ」のメンバー全員女の子なのも、逆に自然に感じます。
男女混合の仲良しグループを描く作品は多いですが、現実ではやっぱり同性同士でつるみがちです。
ただ、この作品でも、ただ女の子ばかりというわけでなく、同年代の男の子も登場し、その関係による成長もあるので、尚更、私は現実見を感じています。

また、“獣”や魔法の設定も、ファンタジーではありながら、非現実的とは言えないくらいに作りこまれています。
特に、今回登場した「海獣鳥<メルフォン>」は一見ペンギンです!
グリフォンっぽくなったペンギンなのですが、本当にいそうな雰囲気もある体つきです。
登場シーンはそんなに大きいコマではないのですが、迫力がありました。

この作品の魅力は、作者の白浜鴎さんのこの画力にもあると思います。
前述の“獣”たちを含めた登場人物たちの迫力、可愛らしさはもちろんなのですが、物の質感の描き分けが巧いんです。
それは、背景や小物にも表れているんですが、私はキャラの顔の輪郭が特にすごいと思っています。
ユイニィは柔らかすぎず且つ未成熟な少年らしく、アライラ先生は大人の女性、クックロウ先生は若くはない大人の男性、そしてメインの女の子たちは柔らかいふっくらした輪郭です。
特に女の子たちは、ご飯を食べてるシーンが可愛らしくて好きです。
背景や小物と違い、1本の線だけで、表現できることに、作者の才能を感じます。
さすが、東京藝大出身...。

また、この4巻も特装版があります。
ほぼ毎巻、特装版があるので、マーケティングだとは思うのですが、ついつい買ってしまいます...。
ちなみに、今回は塗り絵と色鉛筆でした。
塗り絵は1~3巻の表紙を含めた7枚。
色鉛筆は12色で、デザインも主張が少なく、観賞用というより実用的な感じです。
私は、こういうのを使わずに、とっておくタイプなんですけど、色鉛筆ということもあって使おうか、すごく迷っています…。
塗り絵は、原紙を汚さないようにコピーして使おうかと思っています。




私は王道展開の作品はあんまり好みでないものもあるのですが、この作品は物語も絵も大好きです。
今後の展開も楽しみで、応援しています。

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