2018年9月15日土曜日

少し「美少年」シリーズを連想しないでもないけど【不気味で素朴な囲われた世界】<感想>


変態っぽく、性格もひねくれめな非日常を望む主人公に、現実離れしたキャラの濃さなのに賢い美少女ヒロイン、そして一捻りも二捻りもあり、一癖も二癖もあるミステリ...。
西尾維新作品らしい推理小説でした...。

現在、講談社タイガで刊行中の同じく西尾維新さんのミステリ、「美少年」シリーズを連想させる展開もありました。
そういえば、そちらの作中でこの作品と「きみとぼくの壊れた世界」(初刊行時、同時刊行された作品です)に触れたことがあったような気がします。

ただ、「美少年」シリーズで美少年探偵団達が「善」側だとすれば、

こちらは「悪」です。

一見かって気ままな美少年達が根はお互いを大切にしているのに対し、この作品は表面的に親しくても、本心では自分勝手...。

どちらも、同じ中学生達なのに、どうしてこうも真逆なのか...。

でも、確かに周りを心から思いやれる人なんて、現実では本当に一握りです。
そうだとしても、私は少しでも思いやれる人になりたいですし、そう思う人は少なくないはずです。

この作品は2003年初公開なのですが、10年以上たった今、西尾維新さんが「美少年」シリーズを書かれているのも、そういう考えがあるのではないかなぁと思っています。
そして、その「美少年」もただの形だけの「良心」や「正義」ではないのだろうと、この作品を読んで改めて思いました。
ただ「悪」を否定する「善」は、分かりやすいけれど、少し違うと思うのです。
そういう部分を書かれるので、西尾維新作品は、好きです。
...と、いろいろと考えさせられましたが、後書きの黒歴史(?)暴露で笑っちゃいました。
こういうとこも好きです。

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